お嬢様 × 御曹司
昨日の今日だから、花火大会の余韻に浸っていた私。


起きたのは9時だった。


LINEが規定なのは7時で…いつも規則正しすぎる生活をしているたけくんが少し心配になる。


あと、いつも不規則すぎる私の生活にもね。


「農家かぁ…社会勉強になるよね。ってことは父さんが行かせてくれる可能性は高い。」


夏休みの宿題はとうに終わったし、夏期講習も終わってる。


このぶんだと、夏休み明けのテストは心配いらないだろうし。


まあ、それはたけくんも同じなんだろうけどね〜。


私は薄ピンク色のワンピースに着替えて、伸びた髪を2つに結って一階に下りる。


「花〜?」


スマホを見ながら一階に降りて花を呼ぶ。


「はい、ここにいます。」


その声の方に目を向けると…


「あ、おはよう、聖夜ちゃん。」


「…優笑さん!」


優しく微笑む可愛らしい女の人。


つまり安東優笑さんがそこにいた。


大人っぽい真っ白のワンピースを着て、月形のネックレス。


うーむ、高校生ってこんなにも違うのか…。


私はそんなことを考えながら優笑さんの真ん前のソファに座る。


「おはようございます。兄さんですか?」


「うん。9時に来てって言われたんだけど、起きてないっていうから…」


あ、昨日と顔が違う。


化粧してるとかしてないとかじゃない。


昨日は友達の顔だったけど、今日は恋人の顔だ。


ふふ〜ん。


私の勘をなめないことね。


ほぼ100%の正答率を!


まあ、言われるまでヤボなことは聞かないようにしよう。


兄さんキレると怖いんだ。


「それで花がおもてなしてたってわけか。」


朝から崩れない、花の綺麗なお辞儀。


「恐れ入ります。ただいま聖が起こしに行っておりますので、もう少々お待ちください。」


「聖くんが?もう、誠ったら。」


そっか。


私からしたら聖は執事だけど、優笑さんからしたら聖は同級生。


友達って感覚のがしっかり来るのかもしれない。


コソコソと近づいてきた花。


「私のことを呼んだということは、何か御用ではありませんでしたか?」
< 131 / 161 >

この作品をシェア

pagetop