お嬢様 × 御曹司
心の叫び -乙女心-
《聖夜 SIDE》


「こんにちは。聖夜様。」


声を機械で変えている犯人。


多分、犯人の人数が少ない。


足音はしないし、次から次に言葉を発せられないということは、少なくともパソコンは一台しかないんだ。


3人…最低1人ってところかな。


「そうでした。口を塞いでいますから話せませんよね。失礼。」


機械に打って声を出している。


カタカタと音がしているから、パソコンの証。


さて、犯人の目的は、いったい何かしら?


聞きたくても口塞がってて聞けないんだよね。


せめて話せればなんとかなるものの。


「目的なんて簡単。あなたのお父様が絶望にひれ伏す様を見てみたいのですよ。」


…というか、勝手に目的話し出したよ。


なんて間抜けな犯人!


まあ、この場合は感謝だけど。


「先に話しておきますと、お金を要求するわけではありませんから。日野原財閥に金銭を要求したところで、あの人は全く動じないでしょう?」


何言ってんのこいつ?


話のつじつまがまるで合わない。


つまり、私はなんのために?


「あなたの父親が見つけるまで、あなたはずっとここで飲まず食わずで放置されるというわけです。」


…はい?


数秒考えてから理解した。


私が衰退していく様をお父様に見せて、精神的苦痛を与えようってわけね。


私は思わず口角を上げてしまう。


犯人のいかれた考えに笑うことしかできなかったから。
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