「君へ」 ~一冊から始まる物語~


最後の方は春稀の涙で滲んで読みずらかった。

きっと春稀も悩んで悩んでこの手紙を私に宛てたんだと思う。

春稀は

『いつか君の心からの笑顔を見れた時、僕は君の前に姿を現すよ。』

と言ってくれた。

そしてそれを見たと言うことは、もう私は春稀にあっているということになる。


「えっ?」


私は思わず声に出してしまった。

そして手紙を読み返した。



『なんか仲間がたくさん増えたみたいだね。』


春稀は私が生徒会のスパイになったことを知っていた。

という事は、生徒会のメンバーの誰か...



「えーーーーーーーーーー」



私は慌てて口に手をあてた。



生徒会の誰かだとすると、海麗さんはないとして、1番怪しいのはやっぱり小澤会長だ。

漢字が違うだけで『春稀』と同じ読みにならなくはない。

でもわざわざ見つけてと言わんばかりの名前にするだろうか?

もう1人怪しいのが夛成来先輩だ。少し私と距離を置いている気がした。

でも根拠はこんなけだ。

私はもっと確信が持てる証拠が欲しいと思った。

私はある決意をした。

< 107 / 254 >

この作品をシェア

pagetop