ばかって言う君が好き。

「じゃあもう一枚いきますねー!」
 カメラマンさんがカメラを構える。

「俺たちだけ目つむってたらどうする?」

「それはそれで私たちらしいよ。」

「だね。」
 彼がにこっと笑った。


「ねえ直人。」

「なに?」

「…言いそびれちゃったけどね。」
 彼が私のほうに軽く顔を傾ける。


「はい、1たす1は~?」


「今日の直人は、世界で一番かっこいいよ。」

「ばっ!」


パシャっ


今までにないくらい笑顔の私、

と?

今までにないくらい照れた表情で焦っている直人。



「ねえ直人、今週末はどっか行く?」
 窓辺に座って風に当たりながら、彼に声をかけた。

「んー、ごろごろじゃだめ?」
 テレビを見ていた彼が近づいて、後ろからふわっと私を抱きしめた。

「いいよ?」

「え?どっか行きたいんじゃないの?」
 驚いて聞き返す彼。

「だって、直人となら何したって楽しいもん。」
 テレビ台の隣に飾られた写真みたいに、彼は頬を赤く染めた。


おわり

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