【B】きみのとなり

7.芽吹いた生命   -氷夢華-



兄貴と結婚式を挙げてから、新しい家族を迎えるために、
基礎体温を付けながら、妊活を始めるようになった。

そして妊活開始から9か月が過ぎた。


数日前から、アタシは少し体調が悪かった。


体のだるさと、微熱を感じながら過ごしていたアタシは、
携帯で妊娠の症状について調べていく。


微熱・だるさ・頭痛・胃のむかつき・眠気。

人によっては、風邪のような症状がみられると書かれた説明を見て、
アタシは仕事帰りに、妊娠検査薬を購入する。


使用法通りに検査を終えて、妊娠反応が出ているのが分かった途端、
嬉しさから体をギュっと握りしめる。


検査で陽性反応が出ていても病院で調べて貰わないとわからない。
子宮外妊娠とか胞状奇胎と呼ばれる、正常じゃない妊娠があることもある。


その間も、兄貴は何度も心配して声をかけてはくれるものの、
「大丈夫だから」っと、何度もベッドに倒れこんでは体を休ませながら、
翌日の仕事に備えた。




ようやく携帯で調べた産婦人科に行くことが出来たのは、
陽性反応から一週間が過ぎた休みの日だった。


一人で訪れた初めての産婦人科。


尿検査の後、問診されながらアタシは手にしていた基礎体温表を手渡した。
その表の中には、最終生理日も印が付けられている。


結婚の有無・過去の妊娠経験・既往歴、
アレルギーの有無を順番に確認されながら緊張の時間は過ぎていく。


そして内診台へと移動するように促される。
内診と触診が行われた後は、超音波検査で赤ちゃんの状態を確認する。


エコーに映し出された映像を見ながら、先生はわかりやすいように「ここがたいのうです」っと
説明してくれる。


心拍も確認することが出来たらしく「おめでとうございます」っと、
笑顔で教えてくれた。




妊娠がわかったアタシは、そのまま実家へと直行して、オカンに報告をする。
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