【B】きみのとなり
間章

挨拶

四月。
峠で死の声を聞いて兄貴に助けられて見事に病院に連行された私。


病室で目が覚めた時には兄貴が傍にいて、
アタシはもう二度とその手を離さないって離してたまるかって思った。



退院の日、兄貴はわざわざ退院とオフをあわせて
アタシを見慣れない車でマンションへと連れて帰った。




アタシの部屋を準備しておくっていったのに、
兄貴は殆どで来ていなくて、それでも兄貴の匂いがする
このマンションに帰ってこれて、幸せで満たされてるアタシを感じられた。





兄貴のベッドを奪って一夜を過ごしたアタシは、
翌日兄貴を引き連れて、欲しいものを順番にショッピング。



呆れながらも、ずっと買い物に付き合ってくれた兄貴。

勿論、スポンサーも兄貴で、
私は今まで以上に快適な生活を送れることとなった。




退院してから、すでに2週間。




兄貴に煩く言われて暫く自宅で大人しくしてたアタシ。


アタシだってむやみに反抗期なわけじゃないんだから、
納得いけばちゃんと療養するよ。



そしてようやく来週からの職場復帰も決まって、
今日は朝から女磨きの1日。




GWも終わって五月の少し暑いくらいの陽ざしが
天から降り注ぐ。



兄貴と言えば、少し進展したのがアタシが自宅療養してる間に
兄貴の弟的存在の、勇人って人が見つかったってこと。


だけどなんだか体はズタボロで、
心配症の兄貴はアタシにそのことを打ちあけた上で、
自ら弟分の看護の為に無茶なシフトに顔を突っ込んでる。



アタシだって、理由がわかって仲間外れにさえなってなけりゃ
そう言うのには寛容なんだから。



来月は六月十二日は、兄貴の誕生日。




それまでには完全に体力も回復させて、
今度こそ兄貴に猛アタックするんだから。





一つ屋根の下に暮らしておきながら、
未だ、そんな既成事実が成立しないって有り得ない。



だからこそ、もっともっと女を磨いて行動を起こすって決めた。



何せ、療養中は兄貴が睨みきかせすぎて、
身を縮こまらせて大人しくしてたもんだから女子力なんてなきに等しい。


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