好きだけど好きじゃない。
タイトル未編集
 




上司の龍野さんには気をつけて。

この言葉もっと心に刻んでおくべきだった

わたしはなんて馬鹿なんだろう
こんなやつに一目惚れするなんて





「あの〜、これ龍野さんに渡す
ようにいわれたんですけど…」

「……無視ですか?」

「…、ここに置いておきますね…?」



龍野さんに無視されてから今日で3日目

3日前まで普通に話せてたかと
聞かれるとそういう訳でもないけど
一応の返事はあった。

なぜこうなってしまったのかそれは3日前



「真城〜あんたバカだねぇほんとバカ」

「何回も言わなくてもわかってますよ、
自分でもびっくりです…一目惚れするなんて」

「今回ばかりは救いようがないわ、
でも諦めるのが身のためよ」



会社の先輩の菜々ちゃんに
居酒屋でわたしが龍野さんに
一目惚れしたことを打ち明けた

龍野さんが移動でここの部所へくるって
決まったときに菜々ちゃんはこう言った

(彼にだけは惚れちゃダメ
顔はいいけど性格が残念だから)

菜々ちゃんと龍野さんは
前の部所が同じで同期らしい

まあそう言ってるのは実際
菜々ちゃんだけじゃない

何人かの女の子から
(龍野さんには気をつけて)と言われた

今の部所で龍野さんを知らないのは
去年から入社したわたしと何人かだけ




「…なんで惚れちゃったんだろう」

「まあ仕方ないと思うよ、
顔だけは誰もが認めるイケメンだし
顔だけは…ね?顔だけだからね?」



はっきりとした顔立ち
目はくっきりな二重
鼻も高くて綺麗な唇の形
顔に似合った少しくせ毛の黒い髪
おまけに身長170cm後半

初めて見たときは芸能人かと思った


顔のかっこいい人なんて
学生時代にもいたし合コンでもいた

わたしは今年で24歳になる

相手が誰にせよ今更一目惚れ
なんてしてる場合ではない。



目の前のカシスオレンジを飲み干した



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