はじまりはミステイク



むしろ、教科書を開いても笑みがこぼれる。


公式を見て、藤山と勉強をした思い出が頭に浮かぶからだ。


「天木、何笑ってんだー?」


「すみません。今日は顔がニヤけるんです」


先生に注意されても、本当の言い訳を述べてしまう。


「何かいいことあったか?」


「はい!超いいことありましたっ」


クラス内に笑いが起きる。


今日ははじまったばかり。


藤山とも、はじまったばかり。


はじまりは嘘だったけど、本当のはじまりは今日から。


藤山の彼女、その響きがどれだけ嬉しいことか。


……早く会いに行きたいなぁ。


そんなことを思いながらチラッとケータイを見る。


ライン送ってみようかな。


先生の目を盗んでケータイを操作する。


「……っ!!」


画面を見た瞬間、思わず両足をバタバタしてしまった。隣の席の一華ちゃんが首を傾げて私を見るも、何でもないと小さく手を振る。


ラインが来ていた。


【勉強集中してる?】




藤山から、だった。



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