記憶の中で生きる君へ、この空に誓う


目をしばたたかせると、そこには、蒼大先輩がいた。


「悪いけど、静月に用があるんだ、借りるな」

「は、はい……」


蒼大先輩に言われた女の子は、迷うことなく頷いた。

そしてようやく廊下へ出ると「ホッ」と息をついた。


「ありがとうございます、先ぱ……」

「悪かった!!」

「………え??」


突然謝り出す蒼大先輩に、私は首を傾げる。

蒼大先輩は、申し訳なさそうに軽く頭を下げた。


「俺が会いに来たりしたから、何かされてないか?何かされたらすぐ言えよ?」



「だ、大丈夫です。そんな事言ったら、私といる事の方が、蒼大先輩に迷惑かかってないか、心配です」


なんせ、この学校の化け物だ。

それで、蒼大先輩に何かあったら、自分を許せなくなる。


「俺は、自分で望んで静月の傍にいるんだし、そんな心配しなくていいからな?」


「先輩……。はい、ありがとうございます」


私もです、私が望んで傍にいるんです。

でももし、蒼大先輩から必要とされなくなったら……私は、どうするんだろう。


蒼大先輩のいない日常に戻れるんだろうか。


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