雨宿りの星たちへ
 




「あー、もう。まだ湿ってる……」



昨日の放課後は散々だった。

最寄り駅で電車を降りて、駅から家まで15分の道程を自転車で走っている途中、降りだした雨。

慌てて見上げた空は知らぬ間に黒い雲に覆われて、昼間の青空が嘘のよう。

それに気付いた時には時すでに遅く、次の瞬間、空から指の間を擦り抜けた水滴のような大粒の雨が落ちてきた。

一面に田んぼと畑が広がっているその場所にはコンビニなんて便利なものはなく、私は、とにかくペダルを漕ぎ続けるしかない。

土砂降りの雨、お陰で制服は、ずぶ濡れ。

家に帰ってからすぐに、身体に張り付いた制服を脱ぎ捨てたけれど……

今朝になっても換えのきかないスカートだけが、昨日の雨の名残を残して、ほんの少し、湿っていた。


 
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