クリア・スカイ

「私はこういう感じで今に至るんですけど、駆も同じように考えたんじゃないかって思うんです。ほたるがああなってから、駆とはほとんど話すことがなくなって、ちゃんと聞いていないんですけどね。

駆とほたるは両思いだったので、余計辛かったと思います。……あ、このネックレス、駆がほたるに贈ったものなんですよ。ほたるは宝物にして、毎日身に着けていました」


 私は柳さんの方に体を向けて首元を指差した。柳さんは真顔でそのネックレスを見つめている。


――一方的に話し続けて喉が渇いた私は、リュックからペットボトルを取り出してお茶を一口飲んだ。そして、いつの間にか空と海の色が変わっていたことに気づく。

 お日様は沈みかけ、空は茜色から紫色へと色のグラデーションを創り出している。ぽつぽつと星の光が見えてくるけど、この小さな光では海を光らせることは出来ない。



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