クリア・スカイ
八.不思議なちから。

 細波の音が大きくなり、心にまで響いてくる。沈みかけの夕陽に照らされた柳さんが神秘的に見えるのは、あの言葉を聞いたからだろうか。

 その真剣な表情から彼が冗談を言っていないのは明白で、こんなときにウソを言う人ではないことも分かっている。

 でも……柳さんが今言ったことをそのまま理解できる人は、この世の中に何人いるのだろう。


「……本当に、そんなことが出来るんですか」

 いつの間にか、私達の背後には駆が立っていた。私たちの話を聞いていたらしい。サッカーをした後で靴やズボンは砂まみれになっている。


「出来ますよ。具体的には、物に、持ち主に関する記憶を尋ねることができるのです」

「物が持っている、持ち主の記憶……。あっ、だから柳さんはあの時……」


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