クリア・スカイ
 
 あの春、もう新しい友達を作らないと決めた。自分だけ幸せになるなんて許されないから。

 大好きな友達の悩みに気づかず、さらに目の前で飛び降りる彼女を助けることが出来なかったのに。
 どうして私だけ幸せになることが出来るだろうか。

 私の時間はあの日から止まったままだ。あの屋上から動くことも逃げることも出来ずに、ずっと暗闇の中でほたるを探している。出口がどこかもわからずに、ずっと。


――この時の私はまだ知らなかった。
 彼との出会いで、止められた時間が少しずつ動き出すということを。


 
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