クリア・スカイ


「絵本さん、貴方が持っている柳慶に関する記憶を、もう一度見せてください」


 ああ、やっぱりドキドキする。言葉には出来ない緊張感。それはきっと、柳さんの手に触れているというだけじゃない。


 自分以外の誰かの記憶が体の中に入ってくる。まるで映画を見ているかのように、色鮮やかな景色が目の前に広がる。


 君は、どんな景色を見せてくれるのだろう。どのように生まれ、どんな風に読まれてきたの? そして、君の目には何が映っていたの?


――私の問いかけに答えるように、頭の中に絵本の記憶が流れてくる。


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