恋愛結婚させてください!
食事を終えて店の外に出る。
(もちろん、私がお手洗いに立った隙に会計は終わっている。やれやれ。)
「ごちそうさまでした。」と頭をさげると、
「コムギはたくさん食べるから気持ちがいいよ。」と私の顔を覗き、
「口の端にチョコついてる。」と言って、私が慌てると、
「嘘だよ。」とかがみこんで私の唇に唇を少しだけ付けた。
「?!、何するんですか。」私は顔が熱くなる。
「キスかな。こんなのは挨拶にもならないけど。」と言って、普通の顔で私を車に乗せる。
腹立たしい。こんなにドギマギするなんて。
私はシートベルトを締めようとするけど、ガチャガチャ音が出るだけで、留められない。
トウマ君は
「やっぱ、俺が締めた方が早いな。」と言って、
私の上に身を乗り出し、ベルトを締めながら、私の顔を覗く。
顔が近い。さらに顔が赤くなる。
「コムギ、顔が赤い。俺にドキドキしてる?」
と耳元で囁くので、顔を背けて窓の外を睨むと、
「うーん。ここで目を閉じてくれないと先にはすすめないねえ。」
とくすんと笑い、車のエンジンをかけた。


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