恋愛結婚させてください!
向かい合ってテーブルに座る。
トウマ君は私が作ったスープを
「美味い。味付け上手いな。
料理人のタイガと血が繋がってるって感じがする。」と褒めてくれ、
「料理はコムギが担当な。俺は片付けするから。」と笑った。
朝食が終わると、本当に洗い物をしてくれ、
「出かける用意して。」と言ってくれる。

まあ、トウマ君が朝から勝手に押しかけて来たんですけどね。

「着替えるから、向こう向いてて。」とワンルームの部屋は隠れるところが少ない。
「ハイハイ。」とトウマ君は笑って持って来た新聞を見ているみたいだ。

用意ができると、一緒に出勤する事になった。
トウマ君はまた、助手席のシートベルトを締めてくれる。
「本当に一緒に行くの?」
と助手席に身を乗り出している目の前のトウマ君に小声で聞くと、
「なんで一緒にいかないいんだよ。」と逆に聞かれてしまう。
「だって、…トウマ君は困らないの?からかわれてもいいの?」と言うと、
「隠すつもりはないよ。からかう奴はほっておけ。
コムギが困るなら俺に言え。からかわないように言ってやる。
そのうち、俺たちが一緒にいる事が普通になるよ。」
と真面目な顔で言って、車を発進させた。

「トウマ君が気にしないなら、いいよ。
私だって別に噂くらい気にしないから。」とため息と一緒に言うと、

「じゃあ、明日からも一緒に朝飯食って出勤だな。
材料費は俺が出すよ。コムギが買い物と料理担当な。
まあ、毎日一緒に帰れば買い物も一緒にすればいいか。」と考えながら言っているみたいだ。

本当に恋人みたい。
私は急に近い存在になったトウマ君の横顔を不思議な気持ちで見る。
1週間前には知らないヒトだったのに、
今日は恋人として隣にいる。

私の許婚。
お試しの恋人。
これからどうなっていくんだろう。
窓の外の青い海をボンヤリ眺めてから、
私は仕事の事を考える事にした。



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