MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 あの犯人が私にどこまでの行為をしようとしていたのか、真相は謎のままだ。
 でもあの狭くて暗い路地なら、目立ちにくいし人も滅多に通らない。
 最後までしようと思っていたとしてもおかしくはない。
 ―― 私を、犯してやろうと。

 そんな想像をすると、ゾッとして血の気が一気に引いた。
 どこの誰だかわからない男に汚され、今ごろ私は死にたくなるくらい心に傷ができていたかもしれない。
 そう思うと未遂で助かったのは奇跡だ。
 髪をつかまれたり、右腕を後ろに捻り上げられたりしたけれど、幸い無事だった。どこも怪我はしていない。

 警察で調書を取るのにずいぶん時間がかかったのだが、その間も日下さんは私にずっと付き添ってくれていた。
 巻き込んでしまって申し訳ない気持ちでいっぱいになる。あのとき私が間違えて電話してしまったせいだから。

 だけど、そばにいてもらえると気持ちが落ち着く。
 ひとりで警察にいたら、不安で心細くて仕方なかったと思う。
 ……日下さんがついていてくれて本当によかった。

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