MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「……すみません。逆に申し訳ないです」

 私が咄嗟にハンカチなんて差し出したから、余計な気を遣わせたのかもしれない。
 もしかしたら、彼は自分のハンカチを持っていたかもしれないのに。

「どうして謝るの?」

「……へ?」

「君、なにも悪いことはしてないよね」

 あきれるでも笑うでもなく、無表情でそう言われると私もどう反応していいかわからなくなる。
 先ほどからこの男性になにか違和感を感じていたのだが、今、その正体がわかった。

 ――― ポーカーフェイス

 この人はせっかく整った顔をしているのに、ほとんど表情が変わらないのだ。こうして会話をしている最中でも。

 普通は愛想笑いをしてみたり、あせったり困ったり……
 人間にはいろいろな感情があるからその都度表情が変わるものなのに。彼は眉ひとつ動かない。
 単に雑貨店の店員である初対面の私相手に、愛想笑いは必要ないと思ってるだけかもしれないけれど。

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