愛されたい、だけなのに






「すげぇな、蘭」

「そうだね」


残された二人。



柳先生、一人で滝なんか見に行って…怒ってるのかな?

迷惑かけてるからー…




「隣、座っていい?」

「あ、うん」

さっきまで蘭が座っていたところに、榊原が座った。


「膝枕とまでは言い過ぎたけど、しんどかったら肩ぐらい貸すよ?」

「ありがと、でも…」

「そんなこと言わずに、寄りかかりなよ」

「!」

肩を抱き寄せられ、ポスッと榊原の肩に頭が寄りかかった。




…え?


「何もしないから、心配すんな。楽にしてればいい」


ぶっきらぼうな口調で言った言葉。


でもその言葉は、榊原の優しさなんだと伝わってきた。


「…ありがと」

榊原にこんな一面があるなんて知らなかった。







「ホント…変わったよ、お前」



最後にぼそっと言った言葉は、よく聞こえなかった。






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