愛されたい、だけなのに
そんな様子を、私はいつも遠巻きで見ている。
他の女子生徒と同じ感情は持てない、っていうのもあるけど…
あの人物には、近づきたくない。
今朝の夢だってー…
「櫻井!」
ビク!
急に名前を呼ばれ、身体が小さく跳ねた。
「おはよう」
女子生徒の間をするりと通り抜け、柳先生が近付いてくる。
「…おはようございます」
俯きながら小さな声で挨拶を返すと、すっ…と柳先生の横を通り過ぎる。
「お、おい!櫻井」
「…」
背後から呼び止める声がするが、聞こえていないフリをした。