愛されたい、だけなのに
「おい、櫻井。今朝、何で無視したんだよ」
午前の授業が終わり、屋上で一人でご飯を食べていると柳先生が来た。
「…挨拶は返しました」
一瞬だけ目を合わせ、すぐ逸らした。
「挨拶だけじゃなくて、もっとコミュニケーションを…」
「他の生徒とコミュニケーションとってください。私は、結構です」
「アイツらは、もういいよ。俺は……って、お前の昼飯それだけか?」
柳先生が指差したのは、マナが持っているコンビニのおにぎり。
朝、登校する途中で買ったものだ。
「母ちゃん、弁当作ってくれないの?」
ピタリと、おにぎりを持っていた手が止まった。