傍にいてギュッとして
放課後にはご注意を
今日も一日無事(?)終わった…正直、疲れたなぁ

「帆波ちゃん。帰らないの?」

一人、校門で立っていると、翔貴先輩に声をかけられた。

「…人を、待ってるんです。」
「そっか…それじゃ、邪魔しちゃ悪いよね?」

そう言って、先輩は笑った。

「それじゃあね。」

先輩は手を振って学校を出ていった。


…嘘、ついちゃった。確かに、人を待ってるっていえば待ってる。
お兄ちゃんに、もしかしたらまた会えるかもしれない。でも、あれは……本当に、お兄ちゃんなのかと言われると正直自信がない。だって、お兄ちゃんは目の前で殺された。私は確かにそれを見た。

「はぁ……」

溜息しかでてこなかった。レポートは先輩に渡したから、軽くなっているはずの鞄が、いやに重たく感じた。

そうだ。本屋に寄り道してから帰ろう。
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