命の灯が消える、その時まで


突然ガラリと扉が開いて、私はビクリと肩を竦ませた。

そしてスマホの電源をさっと落とす。

入ってきたのは当然、藤塚くん。



「ん、どーした? 顔色悪いけど」

「ぇ、ああ、なんでもない」

「そ? ならいいけど」


はい、と差し出されたのは、オレンジジュース。


「ありがとう。あ、お金…」

「いーよ、これくらい。俺自分で稼いでるんだし」

「でも…」

「じゃあ、今度俺に奢って? これで相殺」



曖昧に頷くと、藤塚くんはふわりと笑った。

その笑顔に、また胸が高鳴る。


何してんの、私。


熱くなる胸を抑えるように、もらったオレンジジュースに口を付けた。


甘過ぎない、爽やかな液体が喉を滑る。


「そういや、どうしたんだよ」

「え、なにが? 」

「なんで俺んとこ来ようと思ったの? 」

「ああ、そうだ。昨日のお礼ともう一度詳しいことを話してほしくて」

「ああ、あれね」


自分が飲んでいたミネラルウォーターのペットボトルを棚に置いて、ベッドに腰掛けた藤塚くんは、なめらかな動作で脚を組んだ。


なんでこの人はこんなに絵になるんだろう。



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