もしも君が隣にいたら。
M.1 例えばの話
空がオレンジに染まり始めた。
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
きっとあそこに見える、どこにでもありそうな普通の学校から。

そしてその2つ隣の道で迷子の人が居る。
私だ。
物理的に道に迷っている訳では無い。
心の中が迷子になっているのだ。
臭いことを言ってみたが、特に意味は無い。

「……青いなあ……」
オレンジ色の空に向かって、そうぼやいた。

「お姉さん。アレが青く見えるの?」
不意に声を掛けられた。
その少年が指さす先は海だった。

空の色を写した海は、当然オレンジだった。

「…海も、青いかもしれない」

「……ふーん。そっか」

その少年は隣に座った。
何故?
心の内にしまう言葉。

少年と言ったが夕日に照らされた彼の顔を見たら、青年に近いかもしれない。
20歳前後だろうか?
つまりは同い年くらいに見えるということだ。

例えば彼が実は宇宙人で、私を連れ去らいに来たとしたら?

そんなことを考えてみた。

そのまま連れ去られてもいいかもしれない。
そう思った。
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