結婚も2度目だからこそ!
……そう言えば、こうやって前も圭悟の為にバランスを考えて料理をしてたっけ。

二人で居酒屋に行った時も、揚げ物ばかり頼む圭悟に、野菜を食べなさいって口うるさく話して、圭悟は渋々だけど食べてくれて。

好きな人の為に、私の為に頑張ってくれる圭悟のことを考えるのは、とても楽しかった。

幸せだった。……それなのに。


「――京香ちゃん?」

先輩が私の名を呼んで、そこでハッと我に返る。
どうやら知らない間に圭悟のことを考えてしまっていた。

私は慌ててメニュー表に目を落とす。

「失礼します」と声が聞こえ、個室の扉が開かれた。
ビールが目の前に運ばれ、そのついでに目に入っていた料理を何品か頼んだ。

「じゃ、改めて。久しぶりの再会に乾杯」

そう言って先輩はジョッキを目の前に差し出す。
私もジョッキを持って先輩のジョッキに重ねると、ガラスの当たる音が個室の中に響いた。


一日働いた後のビールは格段に美味しい。
身体中にアルコールが染みわたって、何とも言えない気持ちよさが込み上げる。

それは先輩も一緒だった。
半分以上飲み干して、ぷはっと大きく息を吐いた。

「やっぱりビールは最高だね!これがあるから頑張れるってもんだ」

「やだ、先輩ったらオジサン臭い」

「もう27歳だしねぇ。若くはないよ」

そうはいっても、先輩はやっぱり格好いいと思う。
昔にはなかった大人の色気が加わって、ますます格好良さに磨きがかかっている。

……その時、ふと思った。

こんなに格好いいんだし、もう先輩には彼女のひとりやふたりいるはずだよね?
いたとしたら、私とふたりきりで飲みになんて行っていいんだろうか。

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