結婚も2度目だからこそ!
「……好きなのかもねえ、鳴嶋さんのこと」


――お昼。

食堂で河合さんと日替わり定食を食べていると、突然そう河合さんが呟いた。

ちょうど煮物のこんにゃくを、箸でつまんだところ。
唐突な河合さんの言葉に、箸を持つ手に力が入ってしまって、つるっとこんにゃくがご飯の上に落ちる。

床に転がって落ちなくてよかったと思いつつ、河合さんの言葉の意味がよく分からず、混乱していた。

「な、なにをいきなり」

「あ、いや、ね。吉岡君、鳴嶋さんのことが好きなんじゃないかな、と思って」

その言葉に今度は咽てしまった。

本当に突拍子もなく言うもんだから、どう返したらいいか分からない。

先輩が私を好き?
そんなまさか。あるわけない。

「……どうしてそう思うんですか?」

落ち着いたところでそう聞き返す。
河合さんはご飯を食べながら、その理由を話した。

「そんなの簡単よ。いくら高校の時の後輩だからって、毎週誘ってくるのは好きだからなんじゃないかって、それだけ」

「それはまあ、……自分でもどうしてこうも毎週とは思いますけど。でも、そんな素振りは一切見せませんよ?飲みに行っても話すことは音楽の話か楽器の話ですし」

「吉岡君マジメだからね。少し前に違う部署の女の子と3年くらい付き合ってたけど、その子と付き合うまでに2年くらい片思いしてて、徐々に距離を縮めていったらしいから」

「えっ!?いたんですか!?」

驚いて思わず声をあげてしまう。


なんだ、いたんじゃん!
俺はモテないとか言っていたのに、やっぱり彼女いたんじゃない!


……とは思いつつも、付き合うまでにそんなに時間をかけて長く付き合ってたのに、別れちゃったって。

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