結婚も2度目だからこそ!
許せない。
許せない。
許せない。

どこまで私を苦しめるの?
どこまで私をバカにしたら気が済むのよ!

あの女の言い方は、まだふたりは繋がっているってこと。
今でも圭悟の傍にいて、お互いに支え合って生きているんだ。

なにが出来心?
あれじゃ、私が気付くもっと前から出来てたっておかしくない。

だとしたら、私はずっと裏切られてたってことになる。

私があの時、あの場面に遭遇しなかったら、二人はずっと、私を騙し続けて嘲笑っていたってことだ。

叫びたいくらいに怒りが込み上げて。
でも、こんなところでは叫べないから、必死に唇を噛んで耐えた。

じわりと鉄の味が咥内に広がる。

それでも痛みは感じなかった。
外傷の痛みよりも、心の痛みの方が相当だったから。

やがて電車のライトが、ホームをより明るく照らした。
私は唇を噛んだままで、外の景色が見える反対側のドアの前に立った。


――ガタンゴトン。

電車の一定の揺れに、徐々に頭が冷える。
冷静に考えられるようになるとともに、脱力感が私を襲う。


自分たちが幸せになりたいからって、私の気持ちなんて何も考えず、あんなことを平気で言える神経が分からない。

誰があんな奴の謝罪なんて受け入れるのよ。
一生、自分の犯した罪に後悔していればいいのに。

流れる外の明かりを見つめながら、心の中で呟いた。
< 74 / 127 >

この作品をシェア

pagetop