イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~

沢木綾香サイド

【沢木綾香サイド】

このクラスに一体、何が起こっているんだろう。

「教科書……243ページを開いてください……」

目の下にクマを作った若菜ちゃんに教室中の空気が陰鬱になる。

みやびが一家心中を図り、その後すぐにマミの一家まで行方不明になってしまった。

警察が連日学校を訪れ、聞き込みをしている。

みやびとマミの身に何か良くないことが起きたのは間違いないけれど、正直、そんなこと大したことではなかった。

あの2人を友達だと思ったことも、大切だと思ったことも一度もない。

ただ何となく一緒にいただけ。特にこれといった理由もない。

鬱憤を晴らすためにイジメを始めたのはごく自然の流れだった。

クラスの中には必ず目立つ人間が存在する。

それはかっこいいとか可愛いとかスタイルが良いとか頭が良いとは別の意味。

言動が異質で目立つ存在だ。柴村静子はその典型的な人物だった。

長い髪で血色の悪い顔を隠し、分厚い眼鏡をかけ不潔の塊のような女。

あの女はどんなに痛めつけても決して白旗をあげない。

散々イジメぬいた日には苦痛の表情を浮かべても、次の日はケロリとした顔で学校に姿を見せる。

柴村の強く澄んだまなざしを向けられると無性に腹が立った。

真っ黒く汚れてしまっている自分の心の汚さを見透かされているようで。




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