鶴さんの恩返し


朝、目が覚めた。

時刻は6時。


私の隣に………………鶴さんは、いない。




体を起こしてベッドを抜け出す。


テーブルには昨日私が作った豪勢な料理。
鶴さんが平らげたはずなのに、全く手をつけられていない状態でそのまま残っていた。


ケーキも出しっぱなしにしていたせいか、生クリームがゆるくなっている。



鶴さんが昨日の夜に私に会いに来たという痕跡を見つけたくて、彼が着ていたダウンジャケットとかセーターも探したけれど、どこにも無い。


鶴さんがいたという事実が無くなったみたいに、何も変わらない状態だった。


もちろん、左手の薬指にも指輪など無い。


「夢だったのかな……」


思わず口から漏れた言葉。
夢のような夜だった。紛れもない本音。



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