なくした時間にいてくれた
伝わったこと
模試に志望大学を記入するために進路調査表を提出する。その提出締め切りの前日の夜、夕食を終えた父と母に話を聞いてもらった。

二人とも「話がある」と言うと、何事かと顔を見合わせてた。母がテーブルに紅茶を出してくれたのでそれを飲んでから、進路調査表を二人の前に差し出した。


「ずっと県内の大学を目指していたんだけど、東京にあるこの大学を第一志望に変えたいと思っているの。この大学を受験させてください」


一番上に書いた大学を指差すと父と母は驚いた顔でまた顔を見合わせた。アイコンタクトで通じるようで、二人とも無言で頷く。

そして、父が口を開いた。


「今頃変えたいというのは強い決意があるからだろ? お父さんもお母さんも楓花が決めたことに反対はしないよ。楓花がずっと勉強を頑張っている姿は見てきたから、これからも応援する。受けたいところを受けなさい」

「うん、ありがとう」

「合格することだけを考えて頑張ってね。合格したら向こうに住む?」

「ここからでも通えるとは思うから、どうしようか悩んでいるの。どうしたらいいかな?」
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