遠回りして気付いた想い
好きな人・・・亜耶side
私は、鞄に教科書、ノート、参考書、筆記用具等を詰め込んで、出掛ける準備をする。

今日は、前々から約束していたクラスの友達との勉強会。

今出れば、余裕で間に合う時間だ。

「亜耶。出掛けるのか?」

私に行動にキョトンとして見ている遥さん。

「そうだよ。友達と図書館でテスト勉強する約束してるからね」

私はそれだけ言って、部屋を出る。

「友達って、男か?」

遥さんが追ってくる。

男って…。

「そうだね」

私は、淡々と答えた。

ちょっと、意地悪しすぎたかな。

仕方ないか、時間も迫ってるし、遥さんに構ってる場合じゃない。

「駄目だ!そんな所に行かせられない。勉強なら、俺が見てやる!」

遥さんが、私の手首を掴んで、部屋に逆戻り。

んもー!

遥さんの手をどうにかして外そうと、腕を振り回すが外れず。更に力が込められる。

うっ…、痛いんですが…。

そんなこと口にせず。

「いい加減にして!!前から約束してたんだから、破るわけには、いかないっでしょ!」

そう言葉にしたら。

「それなら、俺も着いて行く」

何て言い出した。

はぁーーー?

「何考えてるんですか!大の大人が中学生に混じるんですか?」

あり得ない。

こんなのあり得ないよ!

これは、お兄ちゃんに助けを求めないと、部屋から出してもらえない。

私は、お兄ちゃんの部屋の壁を。

ドンドン…ドンドン…。

と叩いた。

すると部屋のドアが開き。

「どうした、亜耶?」

お兄ちゃんが、顔を出した。

「お兄ちゃん。遥さん邪魔なんだけど」

お兄ちゃんは、私の格好を見て察してくれて。

「遥。いい加減にしろよ。亜耶に迷惑かけてどうするんだよ」

お兄ちゃんが、呆れ顔で遥さんに言う。

「だがな、雅斗。亜耶は、俺以外の男と会うんだぞ。そんなの黙って見てられるかよ」

イライラしたように遥さんが返してる。

「ハイハイ。亜耶は、クラスの奴等と勉強会なんだ。邪魔してやるな。俺たちも何回かやっただろ。それと同じだ」

お兄ちゃんは軽くあしらい、遥さんの首根っこを掴むと引っ張って部屋を出て行った。

流石お兄ちゃん。

って、感心してる場合じゃない。

遅刻しちゃう。

私は、慌てて部屋を出て、靴を履くと勢いよく玄関を飛び出し、待ち合わせ場所である駅に向かって、走りだした。
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