【禁后-パンドラ-】
桃花の妹がいない。

僕達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事は有り得ない。

広めといえど居間と台所は一目で見渡せる。

その場にいる筈の妹がいない。

「どこ?返事しなさい!」

桃花が必死に声を出すが、返事はない。

「おい、もしかして上に行ったんじゃ…」

その一言に全員が廊下を見据えた。

「やだ!なんで?何やってんのあの子っ?」

桃花が涙目になりながら叫ぶ。

「落ち着けよ!とにかく2階に行くぞ!」

流石に怖いなどと言ってる場合でもなく、すぐに廊下に出て階段を駆け上がっていった。

「おーいっ!」

「いい加減にしてよ!出てきなさい!」

みんな桃花の妹へ呼び掛けながら階段を進むが、返事はない。

階段を上り終えると、部屋が2つあった。

どちらもドアは閉まっている。

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