あの日あの時あの場所で。

少しだけ沈黙が流れた。

先に口を開いたのは私。

「だから、なに?」

私の少し低い声に瞳がビクッってなったのが私には分かった。

「は?なに?口答え~?ウケるんだけど」

―千尋…。
なんでそんな風になっちゃったの…?


ちょっと前までは、あんなに仲良しだったのに…。

なんで…。

「真波は?なんかないの~?」

「えっ…と。そ、そういうの馬鹿馬鹿しいよ…」

―真波…。

あんただけは私のこと信じてくれてると思ってたのにな…。
もう、うんざりだよ…。

「言ったねぇ。みんなさ、あんたなんかいなくなってほしいんだって!…だからさぁ早くいなくなってくんない?」

「…っ」


―芙佳

―千尋


そして、
――真波。


みんな、瞳がきてから変わっちゃったね…。


「じゃっ。期待してんねぇ~」

「ははっ!」

みんな瞳についていくように去っていく。
でも、真波だけは眉を寄せて動かなかった。

「真波…?」

私が真波に問いかけたら、はっ、とした顔をして瞳達の所へ走って行ってしまった。

助けてくれるかも…、なんて一瞬でも思っちゃった。

そんなわけないのに…。


すっ、と立ち上がって教室を出た。


…やっぱり学校は、嫌い。

「ねぇ、あの子でしょ?噂の」

「なんか暗そう…。かわいそうだよね~」

「しっ!聞こえちゃうよ~?」


…言ってれば。

私が向かった先はこの学校の屋上。

―ギイィ。


ここは私のサボり部屋のようなもの。

「寒…」

ピューピュー、と風邪が肌に触れる。

今は夏で日差しも強いのに寒いって変だよね。

…でもね、私には太陽なんて見えないんだ。
見たくもない。



小さい頃から輝いてる人が苦手だった。

いや、うらやましかったのかな。


「真波…」

私にとって真波が光みたいな存在だったのに。

なんで…。

「…真波っ…」

昔みたいには、もうなれないのかな…。



コロンと地べたに寝転びた。

一滴の涙がほほを流れ落ちるのが分かった。


―気がつけば、眠りについて。






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