未来の君のために、この恋に終止符を。




あのあと、しばらくしてかなりの騒ぎになっていた私たちの元に先生が訪れた。



掴まれた腕は手の痕が残っていて、泣きじゃくるばかりの高橋さんと、ほとんどなにも話さなくなってしまった晴樹。

それからふたりの揉めごとの原因の私は話を聞かれ、晴樹は厳しく言われたようだった。



だけどそのことさえも可能な限り私に隠そうとする晴樹を見て、私は目立たないように生きることを決めた。



誰にも迷惑をかけないように、自分の傷で誰かを傷つけないように。

ひとりで、そっと。

それが1番いいと思った。



私はどんどん笑わなくなって、家族でさえ人と接することを避けるようになって。

そうして、今の私になった。



あれから2年。

いまだに晴樹は私のそばにいてくれている。

後悔している、償いでしかない関係は終わる様子がないんだ。



虚しくて苦しい、ばかみたいだと思うのに、それでも手を離す勇気はない。

どうしようもない執着は、消えない。



別れた方が晴樹にとって幸せだということは明らかでありながら、それでもこの関係を続けている。

それは、大切だった彼を実質失った今でも、私の中に彼への好意が根づいているから。



……情けないほどに、晴樹だけが、好きだから。






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