未来の君のために、この恋に終止符を。
晴樹の彼女であること。
付き合って、デートをすること。
共に時間を過ごすこと。
自信を持って、胸を張って、堂々と。
そうやって生きたいと思うし、大切なものを大切にしたい。
だけど忘れてはいけない。
ううん、忘れられるはずがない。
────晴樹は私に恋なんてしていないこと。
これはあくまで罪悪感からはじまった関係。
彼は望んでなんていなかった、歪んだ交際。
私を幼馴染としか想っていない彼に、これ以上恋人らしさを求めることは酷だ。
「両手もふさがっているし」
わかりやすい言い訳に、めぐみが言葉をつまらせる。
なんで? と言いたげにまごついていて、申し訳ないと思うけど、これだけは譲れない。
「お前らって面倒だよな」
ため息を吐いた安藤くんの言葉を、いつもどおりの表情で流した。
「晴樹、りんごあめありがとう。
大事に食べる」
「……うん」
少しだけ気まずい空気が流れた。
だけどもうすぐ花火がはじまってしまうという話になって、移動することになった。
みんな食べ終わったかき氷のごみを捨てて、今度は慌てないようにしっかりとついて行く。
ときたま振り返ってくれる晴樹たちに視線で大丈夫だと告げて川の土手に着くと、顔を向けられるのも落ち着いた。
なんとか4人で座れるスペースを見つけて、そこに腰を下ろした。