クールなCEOと社内政略結婚!?

②夫婦監禁事件

 「ご一緒してもいい?」

 食堂で梨花ちゃんといつも通り食事をしていると、雅さんから声をかけられた。

「はい! ぜひ」

 梨花ちゃんの答えに、私も笑顔でうなずいた。

 私の隣に座った雅さんは手を合わせると「いただきます」と言って、味噌汁を一口飲んだ。

「あ~おいしい。やっぱり日本食が一番ね」

 トレイには、カレイの煮付けにブロッコリーのお浸し、冷奴の枝豆のせという、ザ・定食がのっている。

「今週はおふくろの味押しの業者でよかったですよね」

 確かにイタリアンや、寿司なんかも人気があるけれど、こういったバランスの取れた定食を提供する業者も我が社では人気だった。

「フランスの食事ってどうなんですか?」

 私の質問に、雅さんは首を左右にふりながら苦い顔を見せた。

「高級レストランなんかに行けばおいしいだろうけど、やっぱり体が日本食を求めてるって感じなのよ。本当にこっちに早く帰ってきたかったぁ」

「そういうもんなんですかね?」

 海外といえば、ニューヨークの父に会いに一度行っただけだ。それも滞在は一週間に満たないくらいの短い間。それぐらいでは食事で困ることなんてなかった。

 優雅な箸遣いでカレイの煮付けを口に運ぶ雅さんに、梨花ちゃんが冗談めかして言う。
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