クールなCEOと社内政略結婚!?
「あ……うん」
目の前のコーヒーはすでに冷めてしまっている。私は伝票を持った孝文の後に続いて店を出た。
蝉しぐれの中、ふたりでマンションまで歩く。午前中だというのに容赦ない日光が照りつけてきた。
孝文はだまったまま私の少し前を歩いていた。私は部屋まで我慢できずに聞いた。
「雅さんに、結婚のこと話しちゃってよかったの?」
「今回の場合仕方ないだろう」
孝文が歩く速度を緩めて、私の話に耳を傾けた。
「でも、雅さんは……あの、えーっと」
話し始めたものの、雅さんの気持ちを孝文に伝えるなど本人の許可なしにはできないと、しどろもどろになった。しかし、そんなこと孝文はお見通しのようだった。
「佐々木の気持ちが、まだ俺にあるってことか?」
私は彼の言葉にうなずいた。
「あはは、俺って罪な男だよな」
「笑いごとじゃないんだよっ!」
雅さんが私に向けてきたあの視線は、そんな軽いものじゃない。
「悪い。でも一度手放したものが惜しくなっただけかもしれないだろ? とにかくあいつの気持ちがどうであれ、俺はお前と結婚したんだ。佐々木の気持ちに応えられない以上、きっぱりと意思を伝えるのも優しさだとは思わないか?」
たしかに、いつまでも前にすすめないよりはいいのかもしれない。孝文は言葉を続ける。
目の前のコーヒーはすでに冷めてしまっている。私は伝票を持った孝文の後に続いて店を出た。
蝉しぐれの中、ふたりでマンションまで歩く。午前中だというのに容赦ない日光が照りつけてきた。
孝文はだまったまま私の少し前を歩いていた。私は部屋まで我慢できずに聞いた。
「雅さんに、結婚のこと話しちゃってよかったの?」
「今回の場合仕方ないだろう」
孝文が歩く速度を緩めて、私の話に耳を傾けた。
「でも、雅さんは……あの、えーっと」
話し始めたものの、雅さんの気持ちを孝文に伝えるなど本人の許可なしにはできないと、しどろもどろになった。しかし、そんなこと孝文はお見通しのようだった。
「佐々木の気持ちが、まだ俺にあるってことか?」
私は彼の言葉にうなずいた。
「あはは、俺って罪な男だよな」
「笑いごとじゃないんだよっ!」
雅さんが私に向けてきたあの視線は、そんな軽いものじゃない。
「悪い。でも一度手放したものが惜しくなっただけかもしれないだろ? とにかくあいつの気持ちがどうであれ、俺はお前と結婚したんだ。佐々木の気持ちに応えられない以上、きっぱりと意思を伝えるのも優しさだとは思わないか?」
たしかに、いつまでも前にすすめないよりはいいのかもしれない。孝文は言葉を続ける。