月が綺麗ですね。
新月



はぁ はぁ


息が、止まりそう。


こんなに強く呼吸をしていても、酸素なんて、入ってきていないような。

そんな感覚。


頭の中は大混乱。

足は、ただ床を蹴る。


私は夕暮れの校舎を、一人猛然と駆けていた。



それは、遡ること、今朝。


ようやく、告白を決意した私は、

想い人――椎名くんの靴箱に、呼び出しの手紙を入れた。


実は、ずっと告白を迷っていた。

別に、関係が壊れるのが怖いとか、そういうことじゃない。

そもそも、私と彼の間には、何もない。

壊れる関係も、接点さえも。


ただの、一目惚れ。


でも、だったら、何も恐れることは、ない。

昨夜、気づき、今朝、実行に移した。

『思い立ったが吉日』とばかりに。

今では、なんで悩んでいたのかも、あまり覚えていない。



親には、昔から『猪突猛進、超楽観的、興味津々』という四文字熟語(?)で、表されてきた私。


まぁ、今回のこの告白も、そんな感じで、そんなに深く考えていなかった。




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