月が綺麗ですね。





✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱



そしてそして、お約束の17:30

今度ばかりは、さすがに遅刻はしない。

少し早い時間に来た。



はずなのに、椎名くんは先に来ていた。


でも……寝てる?


フェンスに寄りかかって寝ていた。

栗色の髪が、今日もふわふわ風に揺れている。


起こした方がいいよね?

でも、どうやって起こそう…


眠り姫的な感じで、口づけ??

いやいや、それは血迷い過ぎ。


「椎名くーん?」


トントン


「ん~……」

「もうそろそろ17:30ですけどー?」

「あ……?」


少しずつ、長い長いまつ毛の向こうに、綺麗な榛色が覗いた。

眠り浅い…?


「あ、起きた?」

「あんた…誰?」

「は……?」


寝起きの開口一番それですか?

まぁ、起きたら目の前に知らない人がいたらそりゃ、驚くか?


……知らない人?


「だから、誰?」

「昨日も今日もラブレター渡した望月環那ですけど!!!!」


え、嘘でしょ忘れてるの…!?


「うるさいそんなに大声じゃなくても聞こえる」

「覚えてろって言ったのになんで覚えてないの…!!!」


私の必死な顔をマジマジと見ると、少しずつ椎名くんの表情が変わってきた。


「あ……あぁ~……お前あの意味わかんねぇ女か?」


いや、そんな妙に納得した顔されてもね!?


「あのさ…」

「はい何でしょう!!」

「これのどこがラブレターなんだ?」


彼は、私の目の前に、私が今朝下駄箱に入れたラブレターを広げた。

そのラブレターには、大きく。

かなり大きく。


『大嫌い』と書いてある。




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