シチリアーノは泡沫に
嵐のような夏の始まり
乾いた砂が僕を飲み込んでしまいそうだった。
太陽が殺気だってこちらを見ているような気がした。

あんなやつ、お日様なんて呼んでやらない。


「あの…、ねえねえ君たち」

水着を着て浮き輪やビーチボールを持った2人組の女の子に話しかけた。
比較的大人しそうなこたちを選んだ。


「…なんですか?」

良かった。
ちょっと不審がってはいるけどちゃんと答えてくれた。


「この辺に、さつき荘」

「おい、そこのモヤシ」


……え?


突然後ろから、鈴が転がるように声が鳴った。


「モヤシ、聞いてるの?」


モヤシって僕のことだよな。
小学校の頃の僕のあだ名だし。未だに当時の友人からはモヤシ呼ばわりだしな。


そう思った僕はゆっくりと後ろを振り…

「痛て!」

思い切り頭を叩かれた。

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