コクリバ 【完】
「抱っこしていい?」

「もちろんだよ。この子抱っこされるのが大好きなの。特に若い女の子に。その辺はパパに似たのね」

絢香はもう立派なママになっているみたいで、さっさと私たちのお茶を用意していく、なんだかその動きに無駄が無い。

まだ首が座ってないという駿介を抱っこさせてもらった。

小さい。
軽い。

ふんわりと漂う赤ちゃん独特の匂いに、たまらなく幸せな気分になる。

泣けてきそうなほど、愛おしい―――

「ともも抱っこしてやって」

絢香に言われたともちゃんが慌てて首を振る。

「無理無理。そんな首が座ってない子を抱っこするなんて、落としそうで怖い。無理ー」

いつもは美人でなんでもクールにこなすともちゃんが、狼狽えている。

「分かる。俺も無理」

吉岡も?

「お前も将来のために練習しとけよ」

オサムッチが後ろで笑っていた。
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