コクリバ 【完】
高木先輩もここに座ったんだと思うと、お尻がモゾモゾする。

「でもね、奈々ちゃん。あいつはやめといた方がいいと思うよ」
「なんで?」
「あれ?もう遅かった?二人はそういう仲なの?」
「違うけど…」
「じゃ、良かった」
「もう。なんで?なんでやめといた方がいいの?」
「……あいつ自衛隊なんだろ?」
「うん」
「奈々ちゃんには無理じゃないかな……」
「なんで?」
「艦(ふね)に乗ってるんだろ?いない時の方が多いみたいだし、寂しいと思うよ」
「……別に、関係ないし、もう会うこともないと思うから……」
「あ、そうなんだ。良かった。俺、余計な心配しちゃったね」
「うん……」
「じゃ、あいつにはそう言っとくよ。奈々は俺が面倒見るから心配するなって…」
「ちょっ、何言って…え?言っとく?」
「俺たちメル友なの」
「えっ!」

メル友?
何その可愛い関係。

「知りたい?」
「何を?」
「あいつのメアド」
「……」
「教えてあげよっか?」
「いい。いらない」

私は教えてもらってないのに、なんでマスターには教えるの?
いっつもそうだ。私なんてどうせその程度の存在なんだ。

「奈々ちゃんのメアドはあいつに教えていい?」
「え?先輩が知りたがってるの?」
「ううん。教えようとしたら、奈々がいいつったら、って言うから……」
「マスター。勝手に人のメアド教えちゃダメでしょ」
「なんだよ。おまえら二人して固いな。そんなんじゃ良い恋愛はできねーぞ」
「……マスターはしてるの?」
「してねーけど……」
「……」
「……」
「……だと思った」
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