好きな人の弟を、利用した
「そのお友達…リョウコちゃん?が言う様に、別に言う必要はないとアタシも思うわよ?どうしてもたっくんが嫌いならともかく、そうじゃないんなら何か問題がある?」

「だっ…て、私、佑くんに嘘……」

「これから本当にして行けば良いじゃない。それとも、たっくんのお兄さんが夏夜ちゃんに振り向いてくれる可能性はあるの?」

「……いえ…それは、ないです……」

いつも婚約者の事を話す時には、鼻の下が伸びきっている昴。

そんな事、ある訳ない。

「だったらスパッと諦めて、次の恋に行くベキだわ」

「…………」

「確かに、夏夜ちゃんはやり方を間違った。でも、だからと言って本当の事を告げて何になる?色んな人が傷付くわ。たっくんも、お兄さんも、夏夜ちゃん自身も」

「それは……」

私はグッと唇を噛み締める。
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