好きな人の弟を、利用した
「どうしたんですか?」

話の途中でフリーズした私を不思議に
思ったのか、A定食の唐揚げを頬張りながら凉子が首をかしげる。

「いや……ここじゃちょっと……」

さっきから、私達の会話を気にかけている女子社員の視線が気になって、辺りを見回す。

私と佑くんが付き合ってるって社内に広がっているから、多分、私が何を話すのか気になるんだろう。

「あぁ、杉崎 佑、髪切ってイメチェンして人気急上昇中ですもんね。ほんっとゲンキンな人が多いもんです」

チラチラこっちを見ている人達を視線で牽制する凉子。

その射る様な視線に恐怖を感じた人達が、ササッと視線を反らす。

(怖っ……)

私まで目を逸らしたくなる視線に、絶対に敵に回したくないな、と、B定食に付いているお味噌汁をすすった。
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