好きな人の弟を、利用した
「……夏夜…さん……?」

「えっ?」

どうして?なんで?と考え込んでいたら、『杉崎弟』が長い前髪の隙間から目を覗かせ、私を真っ直ぐに見つめて来た。

それを見て、不意に思った。

(あぁ…これが、兄の『昴』の方だったら即オーケーを出したのに……)

――と。
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