電車で
見てるだけ
毎朝、君が電車に乗り込んでくるのを待っている。
君が僕を見つけて挨拶してくれるのを待っている。

付き合っているのだから、僕から声をかけてもいいのだろう。
付き合っているのだから、君からの何かを待つ必要はないのだろう。

でも僕は、毎朝、「君からの」何かを待ち続けている。
それは、ずっと僕がしてきたことだったから。

付き合う前から、僕たちは示し合わせたように
毎朝同じ車両で登校している。

クラスで仲良くなって、グループでつるむようになってから
なんとなーく気になって、みんなとの会話中でも
彼女の言葉だけは聞き逃さないようになっていた。

その中で、彼女の通学している時間をなんとなく知って
なんとなく同じ時間に電車に乗るようになって…

学校の最寄駅で下車した彼女の後姿に
毎朝 「おっす」 と声をかけるのが日課になって…

なんとなく毎日乗り込む電車の乗車口を変えてみたり…

そしたら、彼女は常に同じ乗車口から乗り込むことを知った。

それからなんとなく、毎日同じ乗車口から乗るのが日課になった。

電車を降りて、彼女を探してからの挨拶が
電車に乗っている最中に変わった。

それが嬉しかった。

半年くらいそんな感じだった。

僕はそれ以上、何もできなかった。

告白は怖くて… 彼女との関係が壊れてしまうのが怖くて…

そんな毎日が続く…

「ね? 私、君のこと好きだよ」

彼女は僕が言えなかった言葉を、いとも簡単に言ってのけた。

いつもの電車の中で…
いつもの登校中に…

僕たちは、彼氏と彼女になった。

その日から、僕は彼女の挨拶を待っている。

だって…
「断られるわけないって思ってたから!」
ニコニコ笑って彼女は言った。

だから僕はその日から、彼女からの挨拶を待つようになった。

僕だけが好きみたいで、悔しかったから。

「あんまり拗ねてると、相手してあげないから」
彼女が珍しく怒っていた。

「好きじゃなかったら言わないし…」
うつむきながらだったから、表情はわからなかったけど
僕が知っている彼女の中で、一番可愛い顔だったんだろうと思う。

結局、僕の強がりも気持ちも、全部お見通しだ。

ごめんね。明日からは…
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