不思議の国の物語。

ここはどこ?
あたしは誰。
「フフ。 フフフ。 あぁ、あぁ。  誰。 こんな人。」
…記憶を失った少女が居た。
そしてその少女は、王子様をずっと─ずっと待っていた。
☆ ☆ ☆
「ルンルンたった♪ ルンたった♪」
ここにも居た。
その男の子は変な歌を歌い続けていた。
変な服装。ただ単の普通のジーパン。 
なのに…。 女の子ものの上着。そして可愛い帽子に靴。 
どっからどうみても女の子にしか見えないが…。
男の子だ。  きっと…。   自分の勘(かん)だ。 
「ねぇ、ルンたった♪って歌っている人!」
あたしは興味本(きょうみほん)位(い)で話しかけた。
「ルンたった♪って呼ぶんじゃない。 あたしの名前は麻(お)折(おり)♪」
…あぁ、女の子だった。 あたしの勘は外れちまった。
「なんで♪ あなたは♪ ここに居るの?♪ チョコ♪」
…なんでこいつはあたしのあだ名を知っているんだろう。
あたしは…知らない。 麻折なんて。
「あれぇ、やっぱり♪ 忘れちゃったか♪ あたしはオリよー♪」
…やはり知らない。こんな人。 …なんでこんな奴があたしの名を。
「キョホ♪ 忘れちゃったならしょうがない♪ここはあたしの空想のお部屋♪」
「空想?」
あたしはやっと言葉を出せた。
「聞いたって逃げちゃダメよー♪ チョコん♪」
「う…。 うん。」

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