Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**圭吾と尚子


私は、娘達が生まれて初めて
長女の干菜に手を上げてしまった。

杏が、私の迎えの途中で
事故にあい、片足が不自由に
なってしまった。

だが杏は、私に気を使わせないように
リハビリも苦痛と戦いながら
頑張っていた。

本当にあの当時は、
私も妻も、杏 中心で
干菜は、しっかりしているし
わかってくれると
勝手に思っていた。

干菜が、あんな気持ちで
いたなんて‥‥

尚子も、圭吾と同じ気持ちだった。

私は、母親として
失格だわ。

お姉ちゃんだからと
干菜にどれだけ我慢させて
いたのだろう。

それを言われないと気づかないなんて

週末には、干菜は一度戻り
荷物を持つと再び出て行った。
私達の誰とも会話もせずに。



そして・・・・
また、私は・・・
母親として失格・・だと·····
気付かれる······

杏の態度に・・・気持ちに・・・
気づかないで‥‥‥

干菜が、自分の荷物を持って
出て行った翌日
いつもは、会社に行く時間に
キチンと起きてきて
出社する杏が、今だに降りてこない

私が、杏の部屋に行くと
杏の部屋は、空っぽだった。

えっ、もう出社した?
私達に会いたくなかったのかと。
圭吾に言うと
「いまは、そっとしておこう。」
と、言うから
そうだな、と思いながら
圭吾が、大学へと行くと
掃除をはじめた。

すると、電話が
杏の会社の総務課長さんで
杏が、出社していなくて
こんなことは、一度もなかったので
と、言われて
「申し訳ありません。
本日は、体長が悪く
お休みさせてください。」
と、慌てて伝えた。
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