家族の絆
 〔タストヴァン青山〕には、表参道の駅からゆっくり歩くと15分ぐらい掛かる。青山通り、骨董通りと途中のMaxMaraを過ぎるあたりからユキは、腕を絡めてきた。遠くから見る限り、誰の目にも仲のよい恋人同士だと写ったことだろう。祐一にしても悪い気分ではなかった。階段を下りてお店に入るとワイセラーが目を引く。たまたま、以前訪ねた時に名刺をくれたソムリエの佐野が祐一に気づいて『いらっしゃいませ』と近づいて来て、中央の席に案内した。
 ユキもそんなには食べないので、前菜とサラダを頼み、グラスのシャドネを頼んだ。佐野から『今日は、カモのローストがお勧めです』と言われたが、ユキにフィレステーキ、祐一には、ラムチョップを頼んだ。更に、佐野は赤にブルゴーニュの何度か聞いたことのあるシャトーを勧めてくれたが、そんな高いお酒を飲む相手ではないよといいながら、ロバートモンダビのキャバネを頼んだ。ユキは怪訝な顔をしていたが、シャドネの乾杯のときに、『ユキのひとみに乾杯!』と言ったことで、やさしい顔のユキになった。
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