家族の絆
 案内を送付し終わって、メールをチェックすると、一通だけ開けてもいないメールが残っていた。そのことに気づいて、とりあえず内容のチェックをしてみようと開いてみた。そこには長い英文が書かれていた。”May I crave your indulgence…”で、始まる内容はけっこう興味をそそられるものだった。ただ、長かったので、後で読むことにしようと、とりあえず印刷しておくことにした。
 いつもの午前中が流れたが、お昼休みになってそのメールを思い出し、読み始めた。そのジョーからのメールの内容はあまりにもおかしなものだった。

日付:2002年7月25日
タイトル:緊急援助(Urgent Assistance)

 このビジネスをはじめるにあたって、本来なら膝を突き合わせて、じっくりと話し合い、お互いを信頼するまで議論が必要だと思います。しかし、時間の節約とナイジェリアとの距離も勘案すると、とりあえずメールベースでの簡単な契約からはじめてはもらえないでしょうか。
 湾岸戦争のときに精製しないで販売した石油が帳簿外になっていて、この金額がU.S.ドルにして30.5ミリオンドル(USD30.5M)あります。この処理について、ナイジェリア国営石油会社(NNPC)、財務省とナイジェリア中央銀行の友人達と話し合った結果、石油省からNNPCを通じて架空の契約を結んで、この契約の費用として海外の口座に送金しようということになりました。
(続く)
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